うまい!とは何か、味覚とは

うまいものはなぜうまいのだろうか。不味いものはなぜ不味いのだろうか。

ねこ氏はない脳みそを絞って、出てきた一番搾りの結論は、うまいものにはメリットが有り、不味いものにはデメリットがある。そう導き出した理由を説明しよう。

食べて良いかどうか判断する本能

まず、人間を含む哺乳類や他の動物も、本能で獲物と思われるものを捕ることができる。そして、捕まえたものを、舐めて確認したり、かじって見る。不味ければ吐き出すし、旨ければ飲み込む。これは、魚から哺乳類まで、脊椎動物であれば観察することができる行動だ。つまり、魚ですら旨いという感覚のようなものがあるとみられる。

人間の赤ちゃんは、動くものや音の出るものに興味を示し、掴んで、口に入れる。特に親が教えるわけではない。基本的な行動として、本能で動いている。そして、繰り返し色々なものを口に入れることで、味を覚えていく。

食べて良いかの判断

さらに乳幼児の行動を見ていると、初めて食べるものに対して、少し食べると言うか舐める。初めの一口はあまり多くは食べないようだ。そしてしばらくは味わって、次の2口目は、うまそうに食べるか、食べないかのどちらかのようである。一口目で旨いと思うか、思わないかで、二口目が変わるのだと思う。子どもの場合は、ちょっとでもマズイと食べない。うまいものは次に見たとき、見るだけで大興奮である。

これは大人でもそれは基本的な行動ではないだろうか。初めて来たラーメン屋で、いきなりかき込む人はあまりいない。盛りつけを目で見たり、器を触って温度を確かめたり、レンゲで少し汁を飲んで見たり、匂いを嗅いだり、あるいは麺を少しとって軽く咥えてみたり、少し食べてみたりするだろう。大人の場合たいていは、不味くても食えないレベルじゃなきゃ勿体無いから食べてしまうと言う人が多いように思う。

これらの行動は動物も同じである。魚ですら、一口目では思いっきり囓らないのだから、釣り人はアタリをとるのに苦労をしているし、犬や猫は必ず匂いを嗅いでから食べるのは、飼い主であれば見ているであろう。

旨い理由、不味い理由

食べ物を見つけて旨いと言うまで、やると簡単なようで言葉にすると複雑な手順を踏んでいる。改めて、旨いとはなんだろうか。なぜ不味いのか、なぜ旨いのか。考えてみよう。

まず、考えやすい、不味いについて考えてみる。塩辛すぎれば不味い、味がなくても不味い、渋かったり苦くても、酸っぱすぎても、臭くても、硬すぎても不味いとなる。これらの塩辛い、味がない、渋い、苦い、酸っぱい、臭い、硬いとは、どういうことだろうか。

1.栄養の偏り

一つ目は、特定の成分が多すぎるか、栄養がなさすぎると不味い。例えば、塩分は生きていくのに必須で、薄すぎると味がなく、適量ならうまくなるが、多すぎると毒となる。ニガリなどに含まれるマグネシウムも同じく重要で適量であれば料理に甘みが出が、多すぎると苦くなる。個人差も有り、自分の現在の状態にちょうどよい濃度でないとあまり旨くない。

2.毒の有無

そして、2つ目は、大小強弱あれど毒があると不味い。自然界のほとんどの毒は、辛味や渋味や苦味などとして味覚で感じることができる。ウリ科の瓢箪などに含まれるククルビタシンや、よく食中毒を起こす青いジャガイモのソラニンなどは有名である。大根やワサビが辛いのもちょっとした毒のせいであるし、唐辛子の辛味成分カプサイシンは生物によっては猛毒である。また、腐敗(毒物化)していれば酸っぱくなったり苦くなったりするし、腐ると臭い匂いがする。苦い・酸っぱい・臭いは、腐敗の判別に特に重要な感覚である。

もちろん毒と言っても、我慢できる苦味や辛味は、あとで肝臓が分解することができる程度の少量で、そのデメリットを上回る栄養があるから、我々人間は食べることができる事が多い。我慢できない毒の味は、よく「えぐ味」と呼ばれるヤツだ。エグい緑のジャガイモを濃い味付けにしたり、噛まずに飲み込んだりして、本能に逆らって食べると、食中毒になるのは当然だ。例外として毒キノコが旨いという噂なのは、少し気になるところだ。しかし、熊や猪が毒キノコを食べて死ぬようであれば、もうその動物は滅んでいる。多くの毒キノコは生では苦いそうだ。

3.消化のしやすさ

3つ目は、消化しやすいかどうかである。例えば繊維質で硬い植物は消化しにくいし、噛み切れないほどの硬い肉は大きいまま飲み込んでも消化しにくいだろう。味覚や食感で消化しやすいと思うものほど旨く感じ、消化しにくいと思うものは不味く感じる。これも個人差があり、脂肪分解酵素の弱い体質の人は脂っこいものが苦手だし、胃酸が弱い人は生っぽい肉が苦手だったりする。ちなみにねこ氏は消化力が高いのか、脂身も大好きだし、硬い肉も気にせず食べる。

4.前回の記憶

4つ目は、記憶である。前回食べた後に元気になったものほど旨く感じ、前回食べた後に体調不良になったものは不味く感じる。どこのセンサーで感じているかはハッキリしないが、総合的に判断していると思われるし、その原因は明らかである。前回食べた際に栄養が十分あったことがわかり、毒が基準以下だったということである。最初は匂いで納豆が苦手な人でも、何度か旨い納豆を食べれば食べられるようになる。また、匂いでクサヤが苦手な人でも、慣れるとヤミツキだったりする。

5.今、必要かどうか

5つ目は簡単、おなかいっぱいかどうか。おなかいっぱいなら高級料理も拷問である。それはつまり、これ以上消化できないところに無駄に食べ物を入れないように制限されているということだ。逆にお腹が空いていると、どんな安モノを食べても旨い。そして、白米でお腹いっぱいにしていてもお肉は食べられるのは、消化の仕組みの違いと、得られる栄養の違いであると思われる。

方程式 旨い=(メリット>デメリット)

これらの事を総合して考えると、なぜうまいかの方程式はほとんど解けたと言っていいだろう。一言で言うと、動物たちは、食べることによりメリットがデメリットを上回るものを旨いと感じるのだ。メリットとは、身体を構成しエネルギーとなる栄養である。デメリットとは、消化への消費エネルギー、分解できない毒素、未知への挑戦である。また、普段食べているものに対して栄養が多く毒が少ないものは特に旨く感じたりするし、逆は不味く感じたりする。動物の感覚と言うのは相対的なもののようだ。

そのような仕組みにより、動物はうまいと思ったものを好んで食べる。どうしても飢えていれば不味いものでも食べる。何も食べないことによるデメリットよりも毒があっても栄養が取れることを選んだ場合だ。

人間だけが不味いものを我慢して食べる不思議

そして、栄養があるからと言って不味いクスリや健康食品と言われる物を無理して食べるのは人間だけであるし、もったいないからと不味いものを大事に食べるのも人間だけである。

よくあるジャガイモの食中毒は、人間の本能が発揮できていないから故に起こる。緑色のジャガイモを匂いをかいで、薄味で食べてみればわかる。あんな臭くて不味いもの食べれない。

科学知識より大事なもの

知識や思想も大事だろうが、目の前で自分の身に起こっていることを判断することは、動物として生きる上でもっともーっと大事だと思う今日このごろなのであった。

追記

舌触り、食感も重要な味覚である。その食べ物を飲み込んだあとで、内臓に刺さったりしないかをチェックしている。

次回は、砂糖が何故うまいかを考えてみることにした。

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